「虹はどうやってできるの?」
栃木県・沢村豊子さん(58)の質問
ののちゃんのDo科学
ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。science@asahi.com
ののちゃん この前、虹を見たんだけど、虹はなんでいろんな色に光るんだろう?
藤原先生 元の光は何かわかる?
のの 太陽でしょ?
先生 そう。太陽光は白くみえるけど、実はいろんな色の光が混ざっているんだよ。三角柱の透明なガラス(プリズム)に入ると、境界で進む方向が少し変わり、いろんな色に分解される。ガラスの境界でまっすぐに進まずに曲げられることを「屈折」といい、曲がる角度は色ごとに違う。赤い光はあまり曲がらず、紫の光は大きく曲がるんだよ。同じことが上空でも起きているんだ。
のの 上空で?
先生 空気中の雨の水滴がガラスの役割をするんだ。光が水滴の中を進むと、まず、赤い光は小さく曲がり、次に水滴の内側で反射し、最後にまた小さく屈折して出て行く。紫の光も同じように進むけど、曲がりやすい性質があるので、赤の光とは出て行く方向が違うんだ。一つの水滴から、赤の光が出て行く角度は太陽光に対して約42度、紫の光は約40度と決まっているよ。
のの へえ。じゃあ、虹の上側が赤色で、下側が紫色なのはなぜだろう?
先生 実際の虹で考えてみよう。一つの水滴からいろんな色の光が出ているけれど、そのうち、目に飛び込んでくるのは一色だけ。例えば、赤の光が届いたとしよう。でも、同じ水滴から出る紫の光は、頭上付近を通るので目に届かない。紫の光は、その水滴の下側にある別の水滴から、目に飛び込んでくる。だから虹の色の並び順は上側が赤で、下側が紫なの。
のの 虹って難しいんだね。
先生 そう。科学者たちが長年、解明に挑んできたんだ。虹のしくみを最初に解明したのは「万有引力」を考えたアイザック・ニュートン。1704年に「光学」という書物に記したよ。
のの きれいな虹をまた見たいな。
先生 コツを教えるね。まず、雨が降る前や後のタイミングで、上空に水滴があることも大事だけど、何より太陽が出ていることが肝心。太陽を背にすると、自分の影ができるでしょう。その影に向いて、自分の目と影の頭を結んだ線の約40~42度上の空に虹は出るんだ。だから、自分の影が長いほど、虹が見える場所は高くなり、逆に影が短いほど虹が見える場所は低くなる。つまり、虹が見つけやすいのは、影が長い朝や夕方ってことだね。真っ昼間は、虹は低い位置にできるのでほとんど見えないんだ。
のの 虹はいつでも見れるわけではないんだね。
先生 虹の外側に、もう一つ虹が見える「二重虹」というのもあるよ。外側の虹は、内側よりも色が薄く、色の並び順も反対になる特徴があるの。これは、外側の虹は、水滴の中で光の反射が1回多いせい。理論上、三重の虹も存在するけど、光が弱くて見ることはできないそうだ。(取材協力=気象学が専門の横浜国立大教授の筆保弘徳さん、構成=石倉徹也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル